美を追及するには、それにふさわしい美しい場所が必要だと私は考えます。

アルテミスをオープンするするにあたって私が一番悩んだのは、サロンの内装でした。
教師の仕事などをして一生懸命ためた資金で、最小限必要なメイク道具、お衣装等を買って、そのほかは総て店内の家具や内装に当てたものです。内装に妥協はしない。オープンからの私のモットーです。私の目指す女装空間は、優雅で高級感があり、清潔な場所。それでいて嫌みったらしくなく、どんな服装でも合う優しい空間です。普段着、ドレス、和服・・・女性の衣装は幅広く、どんなジャンルでも違和感の無い空間にしてしまう家具は何か？行き着いた答えが、アンティーク家具でした。アットホームで、温かみがあり、とても落ち着いた空間を与えてくれます。アルテミスにはじめてお越しになるゲスト様は皆さん緊張をされていますが、店内の落ち着いた雰囲気や、スタッフたちの笑顔をみて、自然に緊張も解け、
笑顔がこぼれます。

女装のお手伝いをするお仕事ですが、完全女装のお手伝いだけが私達の役目ではありません。アルテミスにお越しになるゲスト様の多くが、スタッフ達とお話の時間を楽しみにご来店されていらっしゃいます。あるときは、誰にも相談が出来なかった悩みの相談に乗ることもあります。ゲスト様が話しやすい空間作り、それも心配りのひとつです。女装体験は魔法の国の出来事です。男性社会からは逸脱した夢の空間。美しいものがいっぱいちりばめられた、宝箱です。だからこそ、普段の生活環境とは違った美しい場所が必要だと思います。視覚を通して目に映るものすべてが美しく、そこからやさしさと暖かさを感じながら、心まで女性になれる…まさに女装の醍醐味ではないでしょうか。

美しい空間つくりは、女装用品を揃えることと同じように大切なことなのです。

更新日時：2004/10/10 19:34